Yufu Blog

ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

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ピアニスト・ピアノ講師の Yufu のブログです♪

【読了本】壷井栄『二十四の瞳』は、確固たる意志を持った反戦小説だった

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昨日こそは早く寝ようと思ってたのに、
『菅田将暉のオールナイトニッポン』でゲストに来てた松坂桃李先輩がめちゃくちゃ面白くて、
結局最後までいつも通りラジオを聞いてしまった∑(゚Д゚)


デュエル・スタンバイ!
こんにちは、ゆふ(id:lemonpanic)です。



遅読+いろんなものを並行して読んでいるせいで、読了本がちっとも増えないので、
試験的に一冊ずつのレビュー記事にしてみます( ´ิ(ꈊ) ´ิ)



日本の名作『二十四の瞳』を読みました。

二十四の瞳 (角川文庫)
二十四の瞳 (角川文庫)』を読みました。

映画・ドラマ・アニメと、かなりの映像化をしている作品なんだけど、私はどれも見たことがなくて、小説も初めて読みました。

角川文庫が手ぬぐい専門店「かまわぬ」とコラボした、
かわいい和柄の装丁シリーズ( ◜◒◝ )♡

概要

第二次世界大戦の終結から7年後に発表された小説で、作者の壺井栄は、自身が戦時中を生きた者として、この戦争が一般庶民にもたらした数多くの苦難と悲劇を描いた。
二十四の瞳 - Wikipedia

いわゆる《反戦小説》

学がないので、戦時中の学校のお話かな、くらいの気持ちで読み始めた。
ドラマ『トットちゃん』で、黒柳徹子さんが子供時代に経験した戦争の話が描かれていたので、そのイメージもあって、今のタイミングで読みたいと思ったから。

小説を読み進めていると、《反戦》の意思が書いてあって、はっとさせられた。
ちょっとした言動で、国政に反対していると疑われ、調べられ、牢に入れられてしまう、そんな時代の話。

最近読んだ別の本のなかにも、戦後の話が書いてあった。
杉山龍丸さん*1は、第二次大戦後に毎日訪ねてくる留守家族の人々に夫や息子の死を伝える仕事をしていたそう。*2
近頃、自ずから選んでいるつもりはないのだけれど、気がつけば戦争に関するもの、国政に関するものを読んだり見たりしている。
知らず知らずのうちに、引き寄せてるのかな。



あらすじ

小豆島の分校にやってきた新米教師・大石久子は12人の子供たちを教え子として接し、24人の瞳に見つめられながら授業をしていた。やがて骨折により本校に移った久子は4年後に12人の子供たちと再会。しかし当時、徐々に戦雲が高まりつつあり…

戦争中の人々の生活が描いてあって、なんていうか、こんな言葉でしか表現出来なくて申し訳ないのだけど、
悲しい。

悲しくて、苦しいです。読みながら、とってもつらい。

もちろん学校生活、つらいことばかりではなく、
あたたかな会話や楽しい思い出ももちろんあるんだけど、それだけに
家が貧しくて学校を辞めて引っ越して行った子、親を失った子、軍隊に入っていく男の子たち、、
いろんな人の人生が胸に詰まり、これが戦争なんだなと思いました。

現代日本は、民主主義だけど、今のところ戦争もなく、多くのひとが小学校から大学まで行くし、
その現在の「普通」みたいなことって、すごく有難いことだったんだな、と感じます。
戦争を経験した人たちがこうやって語り継いでくれて、希望を繋いでくれたからこその今があるんだなと思うし、
そうやって過去を懸命に生きた人たちが作ってくれた平和な世界を大切にしていきたい。

ずっと我慢してたんだけど、最後の同窓会のシーンで目から水が溢れてしまった。
本を読んで普通に泣いてしまったのは久しぶりで、自分でもびっくりしました(´・ω・`)


子供たちのやり取りを読みながら思い出したこと


一人の女の子が、ある一人の子を囃したてて、その場にいる皆でからかってやろうとするんだけど、思いがけず周りの子たちの同意を得られずシュン(´・ω・`)とするという場面があるんだけど、一人の人を皆で攻撃(?)しようとする行為って、いじめの一端だよなと思ったり。
でも、これって既視感で、私も小学校一年生のときに実は同じようなことを経験しました。

ある一人の女の子が突然私のところへやってきて、大きな声で「ねぇねぇ、ゆふちゃん! ○○ちゃんって歯みがきしたあと、口の中に溜まったもの飲み込むんだって!!」と言ってきたの。
内容もだけど、何故それを私にわざわざ報告してきたのか分からず、わたしは困惑した。クラスメートの風変わりな癖を私にいちいち報告する義務は別にないし。笑

ふと見ると、その子の後ろに件の○○ちゃんが俯いて立ってるわけ。

何だこれ??(´・ω・`)
不思議な空気の中、何と返したものかと一瞬考えてから、
「うーん、それって、歯磨き粉つけてないなら大丈夫だと思うけど、つけてるんならちょっと危ないんじゃない? でも、結局汚れたものだから、あんまりしない方がいいよ」
と、私は冷静に彼女の健康を心配した(´^ω^`)ww

そうしたら、私に報告してきた女の子はムスッとして無言でどっかに去って、○○ちゃんはその場に立ったままちょっと顔が明るくなってこちらを見て。

そのときは「何だったん?」って全く意味がわからなかったけど、
今から考えると、あの女の子は私に「○○ちゃん変なの!」って言ってほしかったんだろうな、と思います。

私は、(今もだけど)空気を読めないので、相手の気持ちとか汲み取れないんですよね。
まあ、こんな空気は、読む必要もないけどね(^q^)www


是非読んでほしい作品

こんな時代だからこそ、
「平和」であることの尊さ、「戦争」がもたらすものについて、考えるきっかけになる作品です。

戦争を経験していない世代も、本を読むことで擬似体験のような感覚を得られるし、
過去に生きた人たち、戦争経験者の意志を継ぐことって、出来ると思うのです。

いま、世界では色んな民族が、それぞれの思いで、各々の誇りと共に闘っていたりするわけですが、
お互いを認め合って、思い合って、優しい世界になるためには、どうしたら良いのかなと、私は考えてしまいました。


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*1:作家・夢野久作氏のご長男

*2:杉山龍丸『ふたつの悲しみ』。山田太一編『生きるかなしみ (ちくま文庫)』に収録されている