Yufu Blog

ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

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ピアニスト・ピアノ講師の Yufu のブログです♪

【読了本】辻村深月『冷たい校舎の時は止まる』で新学期に思いを馳せる

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前回、『凍りのくじら』で読書離れ出来たので、勢いに乗って、続けて辻村深月さんの作品を読んでみました。

▼ 『凍りのくじら』のレビューはこちら


辻村深月さんのデビュー作を読みました

「ねえ、どうして忘れたの?」
雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろうーー。第31回メフィスト賞受賞作。

メフィスト賞受賞作

講談社の文芸雑誌『メフィスト』から生まれた新人文学賞。

過去に受賞した西尾維新や舞城王太郎の作品に一時期ハマっていたこともあり、個人的には結構良い印象を持っている文学賞です(笑)

辻村深月さんがメフィスト賞作家だということは、実は知らなかったけど、これも縁だったのかもしれません(^q^)

高校〜大学のときに書いた作品

辻村さんが高校生のときに3分の2まで書いて止まっていたこの作品を、大学4年時に部屋に遊びに来た友人が見つけ、「続きを読みたい」と言われ、仕上げた作品だそうです。

忙しい大学4年時に仕上げた辻村さんもすごいけど、これを読んで「続きを書け」と進言した友人もすごい!


漫画版もあるらしい

私はチェックしていないのですが、漫画版もあるらしいです。

絵がある分、漫画の方が分かりやすいのかも?

なんか見たことある絵だなと思ったら、『四月は君の嘘』の人だ!



感想

約1200ページの大作

各巻およそ600ページ、上下巻合わせて約1200ページの超大作。


いや、長いわ!笑


辻村作品は読みやすいから全然読めるけど、それでもやっぱり長いわ!笑


「かがみの孤城」に繋がる

学校内で起こるちょっとしたことをきっかけに、クラスメートとの関係が悪くなる…。
教室の中でどのように振る舞えばよいか分からなくなって、時には学校にいけなくなる。


これって『かがみの孤城』だな、と思いました。

かがみの孤城

あなたを助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
辻村深月|かがみの孤城(ポプラ社)


多分『冷たい校舎の時は止まる』を読んでから『かがみの孤城』を読んだ方が感動もひとしおだったと思う。


辻村さんはきっと、こういう学校での「いじめ」や「不登校」の問題を胸の中に抱え続けて、それを小説にしようとずっと試みてこられたんだなと思いました。*1



辻村作品の中では少しとっつきにくい印象

デビュー作ということもあってか、掴みが弱いというか、テンポがあまり良くない印象で、上巻の序盤の段階で、ちょっと読むのやめようかなとさえ思ってしまった(笑)


学校の中の話なので登場人物も多く、私は覚えるのに時間がかかってしまいました。普段の辻村作品ではこんな事ないんだけど。読んだ時の私の気分も関係あるとは思います。


梨香の喋り方が、直近で読んだ『凍りのくじら』の美也に似ていて混乱したり、Amazonプライムビデオ で見ているアニメ『ハイキュー!!』と同じ名前のキャラクター・菅原が出てきて、しばらく彼で脳内再生してしまったり。後者は完全に私のせいです(ノ∀`)*2


この作品に1ミリも関係ない『ハイキュー!!』の菅原くん(笑)


とにかくその所為で超冷静に頭を整理しながら読みました。
そうしたら普段ミステリーを読んでもトリックが最後まで分からない私が、かなり序盤で大事な鍵となる謎が分かってしまい、「解き明かされるまでが長い…!」と感じてしまいました。


私は辻村深月ファンじゃないので言いたい放題言ってます、すみません(笑)



まあこれはデビュー作だから、それを知った上で読む分には全然問題ない。
デビュー作でこんなに長く書けるっていうのもすごいけどね。



何だかんだで一気読み

上巻はなかなか世界観に入り込めなかったり、登場人物が覚えられなかったので、のろのろと読み進め、一週間以上掛かってしまいましたが、大体人物を把握してからは一気読み。下巻は二日間で読みました。


「早く謎を解明してくれ〜〜〜」と念じながら読んだよ(笑)


最後は、これもやはりファンタジーで終わった。この終わり方は辻村作品全体に共通してるのかなあ?



まとめ

デビュー作から現在に通じるものを感じ取れて、辻村深月作品を読んできた者にとっては感慨深いけど、ただちょっと長い!(笑)


相変わらずの辻村節なので、「長すぎて読めないのでは…」という心配は御無用です。さらさらと読めます。



9月で学校も始まって、学校のことで悩んでる人もたくさんいると思うけれど、嫌なことからは逃げてもいいんだ!! 我慢する必要なんてない!! と変わらず私は思っています。


どうか命を投げ出さないでほしい。誰かに助けを求めてほしい。
君が死んだら悲しい気持ちになる。


辻村さんの思いが伝わってくる作品でした。


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*1:辻村さんは「作中で「いじめ」という言葉を使わない」と決めているらしい。|「いじめは絶対に解決します。人間のやることなんだから、絶対です!」辻村深月×尾木ママ対談【前編】 | ダ・ヴィンチニュース

*2:ハイキュー!! 』は最近プライムビデオに追加されたんだけど、なんと3期まで全部見れます。面白いので是非見よう(笑)