Yufu Blog

ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

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ピアニスト・ピアノ講師の Yufu のブログです♪

【読了本】かげはら史帆『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』

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『ベートーヴェン捏造』を読みました


ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく [ かげはら史帆 ]

二年前に発売されて話題になっていた『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』をようやく読みました!


ずっと読むかどうか迷っていたのですが、早く読めば良かったというくらい面白くて、2日で読んでしまいました(笑)



2020年はベートーヴェンイヤー


↑ベートーヴェン氏の3Dの御顔


今年はベートーヴェン生誕250年ですから、ベートーヴェンの作品を聴いたり演奏したり、伝記を読んだりするにはぴったりの年ですね!


今回ご紹介する本は、ベートーヴェンがどんな人であったか、思いをめぐらせるきっかけとなる一冊です。



あらすじ

「運命」は、つくれる。
犯人は、誰よりもベートーヴェンに忠義を尽くした男だった──
音楽史上最大のスキャンダル「会話帳改竄事件」の全貌に迫る歴史ノンフィクション。


ベートーヴェンが、交響曲第5番について「このように運命は扉をたたく」と言った話、ピアノソナタ第17番について「シェイクスピアの「テンペスト」を読め」と言った話などは余りにも有名ですが、それらは実は、弟子シンドラーによるでっちあげエピソードだった!


ベートーヴェンは耳が聞こえなかったので、相手に筆談してもらい、自分は声で返すという方法で会話していました。
彼が使っていたノートには、会話した相手の文章が残っていて、彼のことを知る貴重な手がかりとなります。


ベートーヴェンの死後、遺されたそれらのノートに改竄を加え、ベートーヴェンの伝記を書いて、数々の嘘のエピソードを世に広めたシンドラーの話です。


著者

かげはら史帆
1982年、東京郊外生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。音楽関連企業に勤めるかたわら、音楽家に関する小説や随筆を手がける。


この本は、著者が学生時代に書いた論文を元に執筆したそう。

なのでしっかり研究されているし、信頼して読めます。



感想

すごく面白くて一気読み!


眠い目を擦りながらの読書体験は、小学生の時に読んだ『ハリー・ポッター 』以来なんじゃないかなと思います。他にもあったけど忘れてるだけなのかな(笑)


論文を元に、シンドラーを主人公に据えて軽い文体で書いているので、内容はしっかりしているのに軽く読めてしまうというギャップが面白い。
こういう、軽い文体で真面目にお勉強出来る本、どんどん出してほしいな〜!笑


シンドラーについて

シンドラーのことは別に良いとは思わないけど、それでも彼が「楽聖」としてのベートーヴェン像を作り上げ、名キャッチコピーを生んでベートーヴェン作品を広めたことで、ベートーヴェン作品を後世に残したとも言えるかもしれないし、色々考えてしまいます。


尊敬していたベートーヴェンを悪く書きたくないっていう気持ちは、まあ分かるかな。


私もあんまり亡くなった人のこと悪く言いたくないんだけど、
『タタタカノン』(WoO.162) って何だったの???🤣🤣

交響曲第8番の第2楽章は、メトロノームの音を擬した小曲『タタタカノン』を転用した作品だと主張したけど、その時はまだメルツェルもメトロノームを発明しておらず、実はシンドラーが後に作った作品だったらしい。


いや、この嘘いる???
これだけはどうしても解せないよ🤣🤣🤣


もう嘘吐きすぎて、どうかしちゃってるとしか思えない。私がベートーヴェンだったら怒り心頭です(笑)


あ、ちなみにベートーヴェンの交響曲第8番の第2楽章というのはこれですね。
謎の逸話のおかげで記憶には残る😂😂😂

シンドラーの弟子ヴュルナーは『コールユーブンゲン』という功績を残しているのに、シンドラー自身は師の名前を語って、自身の作品を潜り込ませてるってなんだかなーと思います😂😂😂



シンドラーは、人生の中で「ベートーヴェン」という途轍もなく大きな存在・才能に出会い、ベートーヴェン自身には疎ましく思われていたにも関わらず、生涯を通じてずっと彼と関わり続け、彼の存在のお陰で稼いで暮らしたって、(言い方ひどいけど)すごいなと思います。
ある意味、ビジネスには長けていた人物ということなのかな。


なんかベートーヴェンの周りの人って、こういう人多いよね。弟たちも、彼の才能を搾取しようとしてたし。才能がある人は大変だわ。
悪意に潰されないように強く生きないと。といっても、シンドラーが暗躍(?)していた時にはベートーヴェンはもう死んでたけどね。


ベートーヴェンの伝記を読むにあたって

今年はベートーヴェンイヤーですし、ベートーヴェンの伝記を読んでみようかなという人も沢山いると思うのですが、長年シンドラーの影響力が大きかったので、シンドラーの書いた伝記を基にしたエピソードというものも沢山含まれているはずです。


今後、ベートーヴェンの伝記を読む上で、この本はある意味「警告」であり、「指針」となってくれる存在であると思います。


歴史の真実は、これからの研究でまた変わっていく可能性があるけれど、与えられた情報を鵜呑みにせずに、自分の頭で考えることを教えてくれる一冊でした。
すごく読みやすくておすすめ。一読の価値有りです(๑•̀ㅂ•́)و✧



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