Yufu Blog

ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

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ピアニスト・ピアノ講師の Yufu のブログです♪

8月 読了した本:7冊

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8月が終わってしまった…!


学生の皆さんは、新学期の始まりですね。
どんな夏を過ごされたでしょうか。


台風も次々と近づいており、日本各地で激しい雷、豪雨が続いております。
皆様、くれぐれもお気をつけてお過ごしください(´・ω・`)!




尾崎英子『くらげホテル』

「本当なんですかね……ここに、異次元の世界があるって」
フィンランドの「ホテル・メデューサ」で出会った、日本から来た、年齢も性別もばらばらな4人。
異次元なんてあるわけない、けれど、あるかもしれない。この世界の、「本当の本当のこと」って、なに?

下北沢発、フィンランド経由……。あなたは、異次元に行けると言われたら、行ってみますか?
ちりばめられたユーモアとフィンランドの空気に、心がすうっと楽になる、世界が広がるサプリ小説。

邦画のような雰囲気で面白かった。久しぶりにファンタジーのような物語を読んだ気がする。

それぞれに、自分が考える異次元の世界があって、異次元ってどんな世界なんだろうと、わくわくしながら読んだ。
作中に出てくる「くらげキャラメル」も、なんだか気になってしまった。

フィンランドという舞台も素敵。
ちょっと涼しげで、美味しそうなものも出てきて、暑い夏に読むのに良い本かもしれない。

俳優・もたいまさこさんの帯コメントも良い。

「変わることをおそれるな、と言われたような妙にスカッとした気持ちになれました。
不思議な森の奥から、静かに希望の光が射してくる。 そんな新しい物語だった」


北川悦吏子+MAYA MAXX『会いたい』

恋するsweetでbitterな気持ちを恋愛の神様北川悦吏子が綴り、優しくてふるえるような恋模様を人気画家MAYAMAXXが描きます。うまくいく恋、いかない恋…切なく、暖かく、心にそっと染みこむ愛の詩集。

北川悦吏子さんも、MAYA MAXXさんも、どちらも好きで昔買ったんだけど、久しぶりに本棚から出して再読。

MAYA MAXXさんの可愛い絵と、北川さんの優しい文章が、すっと心に侵む。

現在、北川さんが脚本を担当されたNHKの連続テレビ小説半分、青い。を見ているのだけれど、それに出てくる詩*1に、文体が似ている詩がこの本の中にも出てきた。
「もしかして。」という詩。

半分、青い。が好きな人には、是非こちらも読んでみてほしいな。


江戸川乱歩『少年探偵団』

幼い女子を次々と拐(かどわか)す「黒い魔物」が、団員・篠崎始の妹と小林少年を拉致。溺死寸前の二人を少年らの機転で救い出すものの、魔物は首尾よく姿をくらませてしまう。それから二日、帰京したばかりの明智小五郎が講釈する「探偵学」に耳を傾けるうち、小林少年は世にも恐ろしい仮説に辿りつく――。史上最高の名探偵vs.世紀の大悪党、華麗なる推理合戦の行方をしかと見届けよ!

私は、子どもの頃から本を読むのが大好きで、毎週図書館に行っては本をどっさり借りてくるような子どもだったけれど、自分の興味が向いたものしか読まないので、読書に偏りがある。*2
一般的に有名な作家の本や、名作とされる文学は、どちらかというとあまり読んでこなかった人間だ。

江戸川乱歩氏の作品も読んだことはなく、脳内では失礼にも「エドガー・アラン・ポーじゃない人」と、「じゃない方芸人」のような扱いをしていた。

ある夜、寝る前に何気なく読んだブログで『怪人二十面相』シリーズが紹介されており、気になってKindleでダウンロードし、読み始めたら面白くて一気読みしてしまった。
間違えて『怪人二十面相』を読む前に『少年探偵団』を読んでしまったんだけど、問題なく楽しめた。1937年の作品なのに、今読んでも色褪せぬ面白さを持っているってすごい…!

キャラクターの名前といい、子どもたちが活躍したり、大怪盗が現れたり、江戸川乱歩作品に親しんでこなかった私としては「コナンっぽい…!」という印象を受けました。逆やろって話ですけどね。分かっています。

私の好きな怪盗 @鳥取コナン空港

小中学生のときにハマる人が多いというのもわかります(^q^)
大人も子どもも楽しめるし、昔の人も今の人も、変わらず楽しめる作品ですね!



石川博品『先生とそのお布団』

まだ「何者」にもなれない「誰か」へ――。
これは石川布団という作家と、人語を解す「先生」と呼ばれる不思議な猫とがつむぎ合う苦悩の日々。
企画のボツ、原稿へのダメ出し、打ち切り、他社への持ち込みetc...
様々な挫折と障害に揉まれながらも、布団は小説を書き続ける。
時には読者に励まされ、時には作家仲間に叱咤され、ひとつひとつの出来事に、一喜一憂していきながら、素直に、愚直に、丁寧に、時にくじけて「先生」に優しく厳しく叱咤激励されながら――。

これは売れないライトノベル作家と「先生」とが紡ぎ合う、己が望む「何か」にまだ辿り着かぬ人々へのエール。
優しく、そして暖かな執筆譚。
カクヨムで話題を呼んだ、奇才・石川博品の同名短編小説を、大幅加筆修正した完全版。
イラストは『バッカーノ!』『異世界食堂』など、各所で活躍中の人気イラストレーター・エナミカツミ。

石川博品さんといえば、やはりデビュー作耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳の印象が強いけれど、今作先生とそのお布団は、これまでの作品の集大成であり、ある意味ベストアルバムのような作品なのかなぁと思う。

というのも、主人公・石川布団氏が石川博品氏を彷彿とさせるから。

作者曰く、

(このお話はフィクションですのであまり真に受けないでくださいね)
先生とそのお布団(石川博品) - カクヨム

とのことだけれど……。

しかしながら、石川氏のこれまでの作品らしいものが多数登場するので、読んでいない作品も「なるほど、あれはこんな話なのか」と頷きながら読んだ。
私みたいに、これを読んで未読の石川博品作品が気になる人もいると思う。

でも、これまでに作者の作品を何も読んだことがない人が最初にこれを読むのは、どうかなぁ…。好き好きだけど。
個人的には、やっぱり一冊目は耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳をオススメしたい!


辻村深月『ナベちゃんのヨメ』

友達以上!恋人未満? 男友達の結婚を巡って揺れる気持ちを丁寧に描いた中編小説。

「六月の第三日曜日はご都合いかがですか?」〝ナベちゃん〟こと渡辺佳哉から、大学時代のコーラス部の同窓生たちに、結婚式に招待する旨のメールが一斉に届く。そのナベちゃんのヨメ(婚約者)が「ヤバいらしい」という噂が広がっていた。

ナベちゃんは物理学科出身で、大手時計メーカーの研究職。コーラス部ではイジられキャラだった。少しなよっとして華奢、男子より女子部員と気が合ったが、モテるわけじゃない。優しく、親切で、部員たちの面倒な頼みを嬉々として引き受けるいい人だったけれど、女子部員は誰も恋人にはしなかった。語り手で、30歳を間近に控えた未婚の会社員・佐和もその一人。ナベちゃんが選んだ伴侶とは? 直木賞作家の腕が冴える、ほろ苦い佳編。

これは、是非読んでほしい。

読みながら「こういう人いる!」「こういう気持ちになる出来事、ある…!」と思ったし、誰かとこの話について是非とも共有したい、という思いに駆られる。
しかも、人に勧めやすい短い物語。

私がこんな風に感じるのは、今、自分が主人公たちと同じ世代で、周りも結婚ラッシュで、こういう話題に特に敏感になっているせいもあると思う。

あと、私は、辻村さんの物語は好きなんだけど、実は「ここがあんまり好きじゃないんだよな〜…」と感じてしまうところがあって。
その苦手なところ一点のお陰で、今まで辻村作品にどハマりはせずに来たんだけど、その《私が苦手なクセ》がこの作品には出てこないんだよね。
たぶん長編じゃないからだと思う。

なので、個人的には、もしかしたら彼女の作品で私と相性が良いのは、このくらいの長さの作品なのかも、という気が少ししてしまった。



梶裕貴『いつかすべてが君の力になる』

『進撃の巨人』エレン・イェーガー役など数々の話題作で主役を務める実力派声優が、下積み時代の苦悩から「声優」という仕事への思いまでを語った、夢に向かう全ての人にエールを送る1冊!

梶くんのツイッターをフォローしてるので発売したのは知ってたんだけど、14才向け*3だし、たぶん読まないかなーとなんとなく思っていたんだけど、
あるきっかけがあって、やっぱり読んでみようと手に取りました。

気力があれば、これは別記事に書こうかなと思ってはいるんですけれど(^ω^三^ω^)

全体的には、シンプルな感じで読みやすく、1〜2時間くらいで読めちゃう感じだったかな。
声優・代永翼くんとの出会いのこととかも書いてあって、なんかちょっと笑えた。全然笑えるシーンではなかったけど。

ちなみに、代永くんを始めとして色んな声優さんが実名で出て来ますが、私の好きな下野さんのことは全く出てこなかったです。梶くん、どうしてかな??笑

菅田将暉ANNに出演してたときも自分で言ってたけど、梶くんは「声優になりたくて声優になった人」だから、確かに子どもたちには、進路のひとつとして参考になるかもね。
年齢的にも、そう遠く離れてないから、お兄さん的存在として、受け入れられやすいかもしれない。

梶くんの真面目さ溢れる本でした。
個人的には、三間雅文音響監督のインタビュー文章が面白かったです。



能町みね子『オカマだけどOLやってます。』

能町みね子、2X才。オカマだけど都内の某会社でOLやってます。こっそり働きはじめて約3年。会社の人は誰もその正体を知りません。アメブロで圧倒的支持を集める脱力系イラストブログを発単行本化。女子よりも女子らしい…のか?どきどきスローOLライフ☆

「そういえば読んだことなかった」シリーズの本。

タレントとしての能町みね子さんは好きだし、ツイッターもフォローしてるんだけど、
考えたら著作を一冊もちゃんと読んだことがなかったので、とりあえず有名なデビュー作から。

って、ブログの書籍化やったんかーい!!(^ω^三^ω^)


面白かったし、コミカルな文章で笑えたけど、学生時代の恋愛のこととかも書いてあって、結構考えさせられた。
でも全然暗くないし、明るく書いてくれてるから、さくさく読めちゃう。すごいぜ。

あと、途中まで忘れてたけど、みね子さん東大だったね。
東大卒だと思って改めて読むと、その後の振り切り方がすごいし*4、東大合格に至るまでのことも気になるから是非読みたかったわ…!

そのうち他の著作も読んでみようと思ってます(◍′◡‵◍)



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*1:元住吉監督の映画『追憶のかたつむり 2』のナレーション(笑)

*2:例えば赤川次郎氏の三毛猫シリーズにハマるとそのシリーズ本を、コナン・ドイル氏の名探偵ホームズシリーズにハマるとそのシリーズ本を、図書館の本棚に並んでいる分は全部読むような小学生だった。色んな作家の色んな作品を満遍なく読むタイプではなく、読書歴にかなり偏りがある。
ちなみに、この偏った読書遍歴をバランスの良い方向に持っていこうと思い始めたのが大学を卒業してからくらいなので、いまだに未読の有名作家・有名作品は多い。

*3:『14歳の世渡り術』というシリーズの一冊

*4:全然キャリアに執着していないし、自分の心のあり方を最優先にして生きてる感じがする。でも、このブログも書籍化を目論んで書いてたみたいだし、そういうところは冷静に目標に向かう方なんだろうなあ。