Yufu Blog

ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

Yufu Blog

ピアニスト・ピアノ講師の Yufu のブログです♪

8月 読了した本:6冊

MENU

先月は映画化作品を二作読みました(^ω^三^ω^)



西村 香英『ニューヨークで夢をかなえる』

 世界中からさまざまな夢と希望を抱いた人たちが集まるニューヨークは、雑多な魅力とチャンスにあふれた街。
美術大学の学生として一人ニューヨークに移り住んだ著者は、絵本作家になるという夢をかなえました。本書では、貧しい学生生活からチャンスをつかんでデビューするまでの日々や、ニューヨーカーとして暮らす日常生活の風景をイラストと文で綴ります。ニューヨーク生活を成功させる秘訣や、住まい・食・ファッションなどの生活情報、現地の人の考え方や文化など、ニューヨークを多方面から紹介した内容は、ニューヨークで自分の夢をかなえようと頑張る読者を応援し、ニューヨーク好きの旅のリピーターにとっても新しい発見がいっぱいです。

私はニューヨークの大学院に行っておりましたので、「わかるわかる!」とゲラゲラ笑ったり、ボストンからニューヨークに留学場所を変えた著者ならではの視点だったり、とても楽しいエッセイでした。
特に、貧乏な食生活に慣れすぎて、珍しく食べた高級な料理に胃が悲鳴をあげるエピソードは最高でした。

他に私が気に入ったのは「多様性」について書いてあるお話で、ニューヨークは多民族国家だから、いろんな人に合うファッションが存在する、ということ。アメリカの体格の良い女性が着ている服に憧れて真似して着てみても、日本人の自分には合わなかったり…。
日本に帰ってきて私が真っ先に感じたのは「何で皆揃えたように同じファッションをしているのだろうか…」ということで、でも考えてみたら日本は日本人ばっかりなのだから、日本人に合うスタイルの服が流行るのは当然といえば当然なのかな、と思いました。



三浦 しをん『まほろ駅前多田便利軒』

第135回(平成18年度上半期) 直木賞受賞
まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.―ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。多田・行天の魅力全開の第135回直木賞受賞作。

映画未鑑賞です🎬

松田龍平氏が好きなので、映画仕様の装丁の文庫本を手に入れたきっかけで今更読みました(゜∀゜)
好きなくせに映画見てないのか! という感じだけど、三浦しをんさんの原作を先に読みたいなーと思って、だらだらここまで来てしまった。平成18年度受賞という文字を見て、そんな前だった?!と思ってしまいました。

映画仕様の表紙の画像が見つからないのですが、この写真が使われてる表紙(゜∀゜)

面白かったです(^q^)
なんというのかな、思いがけない家族の形も描かれていたりして。そういうのが私としては好印象でした。
三浦しをんさんの作品は、私はこれまでに『木暮荘物語』を読んだのですが、この作品でも、独特な関係性のキャラクターがたくさん出てきていて、そういった独特で、一風変わったような空気感をまとった人間関係を描くのがお上手だなあ、と。
私の感想、わかりにくいですね。ごめんなさい(`ω´;)

この映画が観たい気分で、それならと思って小説を先に読んだのだけれど、なんの事前知識も入れずに読んでしまったら、瑛太さんと龍平氏の役柄を逆に想像しながら読んでしまって。
読みながら、表紙のお二人の写真を見返して「あれ…逆なのか…?」と思っておりましたが、読後Googleで検索したら、予想どおり真逆でした。笑

そんなこんなで、私のイメージと違うので、映画を観るのはしばらく経ってからが良いな、という結論に達しました。我ながら意味不明です。笑

この経験から、いま私の中で「映画化した作品を先に観るか、原作を先に読むか」という論争が巻き起こっています。今までは絶対に原作が先と思っていたのですが。笑



Richard Hefter『Shapes』

Text and pictures illustrate the shape of rectangles, triangles, circles, and squares.

これはオススメ(^q^)
やっぱり絵本で英語を読むのはとても良いと思う。

理由としては
① 絵があるので、知らない単語も想像できる
② 文章が綺麗でシンプル
③ 韻を踏ませてリズムよく学べる
というところかな。

たとえば、私はこのフレーズが好き。

A rectangle got tangled in this tiger's tail.

"rectangle"と"got tangled"が韻を踏んでるの。"this tiger's tail" もt が重なっててリズミカル。
声に出して読みたくなる文章。


先月は英語絵本はこれしか読めなかったけれど、個人的には、かなりヒットな絵本でした。絵もすごく好き。



寺山 修司『あゝ、荒野』

1960年代の新宿―。
吃音と赤面対人恐怖症に悩む“バリカン”こと建二と、少年院に入り早すぎた人生の挫折を味わった新次は、それぞれの思いを胸に、裏通りのさびれたボクシング・ジムで運命の出会いを果たす。もがきながらもボクサーとしての道を進んでいく2人と、彼らを取り巻くわけありな人々の人間模様。寺山修司唯一の、珠玉の長編小説。

これも、『まほろ駅前』と同じくずっと読みたかったのですが、映画仕様の菅田くんの表紙になったのと、カドフェスで菅田将暉くん×広瀬すずちゃんのカバーをもらえるというのでこのタイミングで購入しました。笑

そしたら、中に封入されてた何故か栞が広瀬すずちゃんだったのね。菅田くんの映画原作なのに…盲点だった……!!( ꈨຶ ˙̫̮ ꈨຶ )うるうる

さて、ところで遅ればせながら本作の感想ですが、
私ってよく考えたら寺山さんの著作は高校生のときに担任の影響で『さかさま世界史 英雄伝』を読んだのと、『書を捨てよ、町へ出よう』をパラパラと読んだくらいなんですよね。なので、長編小説を読んだのは今回が初めてで、寺山修司に対する印象も大分変わりました。

うまく説明出来ないのがもどかしいのですが、文章が美しい…!
美しいなと思ってつい書き留めたい衝動に駆られるのですが、その美しさはそのたくさんの文章のなかにあるからこそ輝いている、というか。

寺山さんがあとがきに「この小説をモダン・ジャズの手法によって書いてみようと思っていた。」と書いているのですが、それが文章が美しいと感じる理由のひとつなのかな、と思ったりもしました。
つまり、あらすじだけ大まかに決めておいて、あとは即興で動いている→文章が生き生きしてくる、ということなのかな、と。憶測ですが。もちろん寺山さんの感性あってのものだと思うけれど。

そして、最後一番肝心な部分でキャラクターの名前が間違っているのですが、調べてみたら普通に御本人が間違えて書かれたそう。生きていらっしゃる間に誰か気づいて何とかならなかったのかしら(゚Д゚)


あと、たぶんボクサーを描いているからだと思うのですが、単純な私の脳内では、読みながらずっと『キッズ・リターン』のテーマソングが流れていました。笑

面白くて一気読みしたのですが、
あらすじというより、文章がとにかく美しい作品だと感じたので、映画を観ようという思いがまた削がれました。我ながら天邪鬼。笑笑
予告を見たら「なんだこの台詞?」というのもあったし。

だけど、http://kouya-film.jp/sp/ という映画の公式サイトがめちゃめちゃ格好いいのでこれは必見です。こういうwebsite作れる人ほんと尊敬する。スキル欲しい。


調べてみたら松本潤さん主演で蜷川幸雄さんが舞台化してるみたいなので、確かに映画より舞台に合いそうな作品だなあと思いました。
しかし、新宿新次くんはベッドシーンがとにかく多いんですが、どう描いてるんだろう??笑

まほろと同じく、映画は、すこし原作への思いが冷めてから観ようと思います。笑



崔 善愛『ショパン――花束の中に隠された大砲』

「永遠に家を忘れるためにこの国を離れ、死ぬために出発するような気がする」―。外国へ旅立とうとするショパンの不安は、侵略を受けつづける祖国ポーランドの苦悩とともにありました。花束のような華麗な音楽のかげに、祖国独立への情熱と亡命者の悲しみを忍ばせたショパン。かつて帰国の権利を奪われた在日のピアニストが、共感をこめて描きます。

著者は在日韓国人で、日本で生まれ、日本で育つ。
区役所で外国人登録者として指紋を押すのを拒否し、そのままアメリカに留学。日本に帰れないかもしれないという不安を抱えたまま、アメリカで留学生活を送る。そのときに『Chopin's letters』という本に出会い、祖国を離れたショパンの思いに共感したそうだ。


正直、著者の人生が思いがけず壮絶だったのでショパンどころではない。笑


よくリサーチしてわかりやすくまとめられた良書でしたが、ショパンの人生を描いたものにしては珍しく(?)、青年期に主にスポットを当てられていて、著者が特に共感している部分《祖国に帰れないかもしれないという思い》、《祖国への思い》が濃く描かれていました。

ショパンの全体像を知るには、この本だけでは不十分だけれど、祖国を想うショパンの気持ちを考えたり、当時の彼の状況を知るにはぴったりの良書。



坂口安吾『欲望について ——プレヴォとラクロ』

昭和初期に活躍した「無頼派」の代表的作家である坂口安吾の評論。初出は「人間」[1946(昭和21)年]。昔から家庭というものに疑念をいだいていた。貞操という観念は社会秩序のためにつくりだされるものだが、肉慾や情欲が不道徳とされていることに納得がいかず、自我の欲望と社会規約の束縛について考えることをはじめるべきだと説く。

短いエッセイ。

「私は昔から家庭といふものに疑ひをいだいてゐた。愛する人と家庭をつくりたいのも人の本能であるかも知れぬが、この家庭を否応なく、陰鬱に、死に至るまで守らねばならぬか、どうか。なぜ、それが美徳であるのか。」という書き出しが、もう好き。笑

結婚ラッシュで、デキ婚の話題も多く目に入ってくるので、こういった時期にこのような文章を読むのもなかなか愉快(^ω^三^ω^)笑




人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村