Yufu Blog

ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

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ピアニスト・ピアノ講師の Yufu のブログです♪

オースティン『高慢と偏見』が面白すぎて寝る間を惜しんで読んだ

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イギリス文学の名作! オースティン『高慢と偏見』を読みました

高慢と偏見(上) (光文社古典新訳文庫)

オースティン『高慢と偏見(上)』
オースティン『高慢と偏見(下)』


はっきり言って最高に面白い小説でした。

今年読んだ本の中で一番面白かったんじゃないかな。

今までタイトルで敬遠していたけれど、ひとたび読み始めたらページを捲る手が止まりませんでした。
下巻なんか375ページあるのに、二日で読んでしまった。

今まで敬遠しててごめん。超オススメ!



読んだきっかけ

小学生のときに読んだ『ハリー・ポッター裏話 (作者と話そうシリーズ (Vol.1 J・K・ローリング))』という本のなかで、確か J. K. ローリングさんが子どもの頃夢中で読んだ本として『高慢と偏見』を挙げていて*1
それで心に留めていたのですが、いかんせんタイトルがお堅い印象なので、積極的に読む気にはなれずに過ごしました。


ところが先日、紀伊國屋に立ち寄った際に、NHKテキスト『100分de名著』のバックナンバーと共に、テーマとして取り上げられている本たちが平積みになっていたのです。

そのなかで私の興味を引いたのが、『高慢と偏見』。


「あ! この作品、タイトルで敬遠してしまっていたのよね…」と、懐かしさと共にふと手に取り、1ページ目を開いてみたところ
「え!? 何これ面白いやん!?!?」



会話がユニークで、すごく読みたくなってしまった😂😂

普段なら上下巻に分かれている本は苦手なのでなるべく手を出さないようにしているのですが*2
この本は1ページ目から引き込まれてしまい、どうしても続きが読みたくなりました。


『100分de名著』という番組すら知らなかったのに、たまたま通りがかった売場でこんなことになろうとは。
オンラインで買い物してるとなかなかない出会いですね。

売り場を作った人の戦略に、もろハマってしまいました😂
素晴らしい営業センス!感動した!笑

こうして長年の時を経て、ようやく読み始めることとなりました。


結婚小説

あらすじを知らずに読み始めたのですが、とにかく内容なんか知らないほうが楽しめると思うので、今回はあまり解説しません。

ですが、ざっくりとジャンル分けすると、結婚にまつわる小説 と言えます。


批評を読むと「恋愛小説」と書いてあることが多いですが、恋愛話がそんなに好きでない私が読めたということは、恋愛というより、結婚の話だったからではないかと思います。


両想いになったらお付き合い💕でなく、いきなり婚約→結婚 という捉え方なのが単純明快で良い。
考えてみると、子どもの頃読んだ『白雪姫』『シンデレラ』なども、恋に落ちたら即結婚していましたね。


私ももし結婚するなら交際とかすっ飛ばして即結婚しちゃいたいなーとか最近考えていたので、「これや、これ!」と謎にリンクしてしまいました⁝(ृ `ᾥ ´  )ु⁝


ここが面白い

200年前に書かれた小説ですが、まったく色褪せることなく、キャラクターたちが生き生きと描いてあります。

会話劇

とにかく会話劇が面白い!


私は読みながらシェイクスピアを連想してしまったのですが、とにかく脚本のように会話文が多い。
長台詞も多く、ひとたび喋り出したら改行もなく、それはそれはものすごい勢いで語り出します。
これが読書を中断するタイミングを失うポイント(笑)

キャラクターが個性的

心優しい長女ジェイン、聡明な二女エリザベス、この二人がベネット家では主な登場人物ですが、
勉強熱心な三女メアリー、士官好きの末娘リディアと四女キャサリン、そして、教養のない母とユーモアが辛らつな父。全員があまりにも個性的。

他にも、大仰にへりくだる従兄コリンズ、社交的で誰にでも感じよく振舞うビングリー、冷静に物事を見つめる高慢なダーシーなど、魅力的な面々が揃っています。

結婚観

現在は貴族社会でないにしろ、いまの女性たちと感覚的には大して変わらないのでは…と思います。

たとえば、結婚相手を選ぶのに、性格だけではなく、相手の家柄や身分を重要視するところ。

これは、ベネット家の相続問題(限嗣相続制により、父の財産は従兄コリンズに引き継がれるため、娘たちが後々困ることになる)が根底にあるせいなのだけれど、
両親、特に母親は、娘たちを不足のない相手に嫁がせたいと心配し、躍起になっています。

口達者なエリザベスが痛快

主人公エリザベス・ベネットの、知的でさばさばした性格が私は好き。

顔が美人なので結構モテて、求婚もされるのだけど、それに対する返答がかなり辛らつ。

「嫌いです」とか「あなたとは何がなんでも結婚すまいと思っていた」とか、自分に好意を持ってくれている相手に対して、これでもかというくらいの非難の言葉を浴びせる。

自分の妹への評価も冷静で、他人に自分の妹のことを話すときに「若さや健康や愛嬌のほかにどんな魅力があるの」などと、ひどいことを平気で言う。

読みながら、こちらが「おいおい、それは流石に言い過ぎやろ…相手傷つくよ…!」と心配になるほど。
でも、それが面白くて、読みながら時々吹き出してしまいました。エリザベス最高!😂

※注意: エリザベスはいい子なんですよ!!


愛称に注意

五人姉妹なので、読み始めで登場人物を把握していないうちは、すこし混乱するかも。慣れてきたらそれぞれが個性的なので大丈夫です。


愛称があるので、私は最初、少し混乱しました。

名前 愛称
エリザベス リジー、イライザ
キャサリン キティ

これさえ理解していれば、問題なしです◎:)


解説・訳者あとがきまで面白い

最初は「こんなに長い解説要らないよ〜」と思ってたのですが、本編を読んだら、解説まで本当に楽しめる。

私は光文社版を読みましたが、下巻収録の解説には、どうやってこの作品が生まれたのか、作者について、当時のことなど、情報が盛り沢山で、作品をより深く知ることが出来ます。

また、"library" という単語の当時の意味など、訳者の方の丁寧なお仕事ぶりも垣間見れて、大変勉強になりました。
翻訳って、ただ訳すだけでなく、時代背景なども理解している必要があるから、大変ですね。
おかげで楽しめているんだなあと思うと、とっても有り難い気持ちになります🙏

夏目漱石


しかも、夏目漱石が「写実の泰斗(たいと)*3なり」とオースティンを評価したことなども書いてあります。

上巻が長い手紙で締めくくられるので、読みながら「『こころ(夏目漱石)』かよ!」と内心思っていましたが(あそこまで長い手紙ではない)、案外ほんとうに『こころ』だったかもしれないよね。漱石先生が、オースティンの影響を受けた部分はあったのかもしれないなあ。


とにかくオススメしたい

長年読まずにいたくせに図々しいですが、今年読んだ中で一番面白かったので、是非読んでほしいです。
さすが「世界の名作」と謳われるだけのことはありました。

イギリスって、本当に文学が面白いですね。

『高慢と偏見』のお陰で、イギリス文学ブームが来そうなYufuでした(笑)



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*1:小学生のときに読んだ本なので、私の記憶が違っていたらごめんなさい。

*2:上巻を読んでからつい間を開けてしまって、下巻を読む頃には登場人物の名前などを忘れてしまうことがよくあるから。

*3:「泰斗」とはある分野における最高の権威のこと