Yufu Blog

ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

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ピアニスト・ピアノ講師の Yufu のブログです♪

カプースチンまるわかり講座

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昨日は、銀座山野楽器さんで催された
『カプースチンまるわかり講座 〜“らしさ”を表現する秘訣と指導法〜』に行ってきました。


すーーごく面白かったなあ。



ということで、今回は講座の感想です(*´ω`*)






講師は数々のカプースチン作品の楽譜を編集されている川上昌裕先生

川上先生はカプースチンの楽譜のほとんどを編集・出版されて、日本にカプースチン作品を広められた方だし、作曲家本人とも勿論お知り合いでいらっしゃるから、色んなお話が拝聴出来ました。




私は一番後ろの席に座っていたのですが、
講座が始まる前、山野楽器スタッフの方から「参考資料として配布した楽譜のコピーに関しては、著作権の都合上、講座終了後に回収致します」とアナウンスが入って、「え、回収? これかな?」とごそごそと配布物を見ていたら、後ろから男性が私のところに来られて「こちらを回収します」と教えてくださいました。
あれ?なんか見たことある御顔………?と思ったら
先生ご本人でした😂😂😂



「ええええ!?!?!?!?」と思ってもう一度振り返ったら、先生はもう壇上に向かって歩かれていらっしゃいました。先生ありがとうございます😭
なんてフランクに話しかけてくださるんでしょう✨笑



そもそもカプースチンって?

1937年ウクライナ生まれの作曲家・ピアニスト。
現在79歳。今年の11月に80歳になられるそう(*´ω`*)

6才年上のお姉さんがバイオリンを習っていて、7才の頃、その先生にピアノを習い始める。
14才でピアノを本格的に学ぶためにモスクワに移住。ラジオでジャズを聴き、衝撃を受ける。この頃より作曲も始め、ジャズに目覚める。
モスクワ音楽院在学当時から、その頃先生たちも知らないようなプロコフィエフの『ピアノ協奏曲 第2番』を弾いたりして、周囲を驚かせていた。
1961年からはビッグバンドで活動し、オーケストレーションを勉強する。その時期はオーケストラ(ビッグバンド)のための曲をたくさん書いている。

詳しくはこちらをご覧ください。→http://www.piano.or.jp/enc/composers/613/


ところで私がカプースチンを知ったのは大学生のときだったのですが、はじめて聴いたときは衝撃的で、「私も弾きたい!!」と興奮しました。あまりに興奮してたから、友達が若干引いてた。笑
『8つの演奏会用練習曲』は1,2,8番の3曲を弾いたことがあります。全部好きだけどね。
昨日も先生が触りだけ何曲も(練習曲以外も!)弾いてくださったのですが、どれもいい曲だし、聴いていてとっても楽しい…! わくわくしました😍

作曲者御本人が録音したCDも出ているので是非聴いてみてください✨✨

たぶん日本で一番メジャーなのはこの曲かな。

わたしがカプースチンを知るきっかけになったのはこの曲(*´ω`*)格好いいぃぃぃ

アメリカで師事していた先生はロシア人でしたが、「僕は知っているぞ、日本ではカプースチンが人気なんだろう!」と、得意気によく言ってました(*´ω`*)笑
確かに日本では現代音楽の演奏機会があまりないけれど、数ある現代音楽の中でカプースチン作品が日本人に受け入れられやすい理由は、なんとなくわかる気がしますね。




カプースチン作品の定義

カプースチン研究者の間では、彼の作曲する音楽についてどのような定義付けがなされるべきか議論されているそうで、というとつまり
「カプースチンはクラシックか、ジャズか」ということ。

形式

彼の音楽にはジャズ、ビバップ、ロックなど、色々な要素が含まれているにも関わらず、形式はとてもクラシック的であるそうなんですね。ソナタフォームとか。私もそんなに色々な曲をアナライズしてたわけではなかったから改めて興味深いと感じたポイントなんですけれど。

即興性

そして、もう一つ面白いのは、彼の作品には演奏者に即興を要求している作品はひとつもなく、全部楽譜に記されていること。これもとてもクラシック的。

カプースチンさんは元々クラシックを勉強されていて、クラシックにめちゃくちゃ詳しいらしい。でも、ジャズに影響されて、ジャズもすんごく詳しいとか。




この話を伺って、私が思ったことはひとつ。
そもそも音楽をジャンル分けする必要なんてあるんだろうか?


こういうところが研究者向きではないんだろうなと反省もするところですが、周りが「これはジャズだ」「いやクラシックだ」と議論したところで、カプースチンの音楽が何か変わるわけじゃないし。まあ「捉え方で演奏の方法が変わるんだ!」って反論されたら、あらそうですかという感じなのですけれども。



ここで、ふと思い出したのが『The CHOYA』のキャッチコピー。

「これはもう、梅酒というより、チョーヤです。」



川柳!?!?
私、このCMをはじめて見たとき、大きな衝撃を受けました。「チョーヤさんは、もう梅酒を作ることを諦めてしまったのだろうか」とさえ思いました。しかし、「きっと梅酒を突き詰めた結果、皆が考える梅酒とは別物になってしまったけれど、オリジナルの美味しいお酒ができた、と解釈すべきなのだろうか…」と考えを改めました。



開発者「やったー!美味しいお酒が出来たぞ!」
開発者「これは売れる!売れる!」
おじいさん「……(よくわからんけど合わせとこ)」


異論を唱える人「待たれよ。恐れながらこの美酒、ワシが考える梅酒とは、すこし違うような気が、あぁ〜、いたしまするぞぉぉぉ」


「それな」
「えー、でもこれ美味しいじゃないっすかぁ…」
「あれ? おじいさんどこ行った? おーい」


「これは、新しい梅酒。
そ、そうだ! そう! これはもう、梅酒というより…」


「CHOYAです!!!」


っていうことなんじゃないかな。知らんけど。


つまりね、新しいジャンルを確立したわけよ、『The CHOYA』は。きっとそう。飲んだことないけど。


だから「これは梅酒じゃない!」とか、「梅酒にしませんか。」とか言われようとも、その道を貫いていいと思うんです。新しいものを始めてるわけなんだから、既存の枠にわざわざ嵌めなくても。
ちょっと何故か梅酒の話が長くなってしまいましたが、カプースチンはカプースチンというジャンルでいいし、カプースチンに倣って似たようなスタイルで作品を作る人が次々現れたら、それはまた「○○派」「○○技法」として新しい名前がつくだろうし、既存の枠にはめることはナンセンスな気がしてしまいます。そんなことにとらわれていたら、大事なものを見落としてしまいがちになるような。
あさのあつこさんの『NO.6』でも言ってました。
「あんたの欲しいのは情報なんだよ。生年月日、生育歴、身長、体重、知能指数、DNA。数字に置き換えられる情報が欲しいだけだ。あんたは、そこからしか人間を知ろうとしない。だから、目の前にいる生きた人間がわからないんだ 」

Don't think! Feeeeeeel.
でも、それは私が研究者でなく、演奏者だから感じることなのかもしれません(^ω^三^ω^)




エディション

今回、ショット社から新しく楽譜が出たということですが、初版はミスが多いんですってー。第2刷からは直ってるみたいだけど。だから買うなら第2刷以降がいいかな。

コレクターやマニアの方はあえて初版を手に入れて、第2刷以降と見比べて改訂されている箇所を発見すれば、作曲家の意志がより理解できるのではないかしら。「これが!間違っているのだ!( ´ิ(ꈊ) ´ิ)」と悦に入ればいいと思う。パピルスみたい…笑)
もしそんなことをする奇特な方がいらしたら、一応私にもどこが間違ってたか教えてください。笑笑
でもそんなことしてたら、よっぽどショット社に何か恨みでもあるのかなと思ってしまいますね。笑


既に出ている全音版とプリズム出版は、川上先生がカプースチン氏と何度もやり取りして、彼に相談した運指も載せてあって、確実に正しい情報であるとのことなので、その楽譜を持ってる人はそれを信用すれば良いみたい。笑
ちなみに私はプリズム版を持っているのだけど、今回の講座予約時に自分の持っているエディションを申告したら山野楽器のスタッフの方がわざわざ川上先生にお電話でエディションについて問い合わせてくださって、「プリズムで大丈夫です」とのお返事を頂いていました。そんな大事にするつもりじゃなかったのに、なんだかお手間を取らせてしまって申し訳なかったです😭笑

でも、Amazonで見ると 2017.5.29現在、在庫は中古のみで、【プリズム出版】が 最低13638円/最高15999円、【全音版】は 最低24972円/最高71492円 になってますね。
楽天は、そもそもプリズム出版も全音版も存在しない。
えっ、何これ絶版になってたの?何で??流行ってたんじゃなかったのか(゚Д゚)
こうなると、新品が欲しい方は否が応でもショット版一択になっちゃいますね。ショット社ありがとう。笑笑




現代音楽との関わり方

川上先生は楽譜の出版にあたり、カプースチン氏と一千回以上に及ぶメールのやり取り、電話などを行われたそうで、そのようにして作曲家本人が認めた運指や奏法などの情報がたくさん詰まった楽譜が出来上がるということの重要さを感じました。


クラシックを演奏するときは、当時の作曲家の状況や心情、時代背景、楽器の状態などを考察・想像しなければなりません。また、現代の楽器との違いも鑑みて、いかに演奏するか、自分で考えなくてはなりません。それが楽しみのひとつでもありますが、同じ時代に生きていて、直接作曲家とやり取り出来る、それもとても素晴らしいことだなと感じます。
例えば自分がベートーヴェンと同じ時代に生きていたとして、ベートーヴェンと積極的に関わりたいかと問われるとYesとNoが混在してしまう部分がありますが(笑)、それでも同じ時代に生きている強み、いざとなれば直接コンタクトを取れるかもしれない可能性というのは、とても大きなことであると感じますし、今度は逆に、自分が未来の人間であると仮定したとき、「こんな素晴らしい人物がいるのに!あなたは同時代に生きていたのに、一体何をやっていたの!」と今の自分に対して思うかもしれないなあ、と。音楽に限らず様々な分野でね。美術でも演劇でも文学でも科学でもスポーツでも。



最後に… 感想

チラシを見て、勢いで即申し込みましたが、行ってよかったです(*´ω`*)

貴重なお話をたくさん聴けましたし、知らなかったカプースチン作品も知ることが出来て、自分の中で興味の幅が広がりました。自分の持っている楽譜の貴重さ・有り難さも改めて確認して、今日拝聴したお話を元に、もう一度よくスコアーを見てみようと思いました。


カプースチンの曲は、やっぱり素敵ですね(*´ω`*)好き❤︎



私はやっぱりカプースチン作品は JazzyだけどJazzではない、かと言ってクラシックでもない、反対にJazzでもありクラシックでもあるところが魅力かなと思います。性別でいうと「Xジェンダー」みたいな立ち位置だと思うよ。あ、定義付けちゃった(笑)



カプースチン氏が影響を受けていそうな作曲家・演奏家の曲も、今まで聴いたことはあったけど(カプースチンが影響を受けたとは知らず、カプースチン作品を弾いていたときに勉強も兼ねてwalkmanで聴いていて、未だに入ってる)、最近聴いていなかったのでまた聴いてみようと思います(*´ω`*)(*´ω`*)(*´ω`*)




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