Yufu Blog

ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

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ピアニスト・ピアノ講師の Yufu のブログです♪

想像力をフルに使って演奏すること

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リトルコンサートの思い出♩


リトルコンサートのときの写真を頂きました!
有難うございます❤️

キッズたちは美男美女揃いだから、見せびらかしたいのはやまやまだけど、お顔は隠しておきます(*´ω`)笑

コンクール、PTNAステップ、定期演奏会、文化祭など、
リトルコンサートが終わってから、早速、皆さんがそれぞれに次の目標に進んでいて、素晴らしいです✨

私も負けられんぞぉ〜!!!✊🎶


トロフィーが欲しい


ある保護者の方から「トロフィーをもらいたいとイメージしながらやってます!」と、昨朝メールを頂きました。

これ、私まだ教えてなかったのに、自発的にそう思って頑張っているなんて、素晴らしいと思います。

イメージすることって、とっても大事ですからね。
なんなら、トロフィーの写真をプリントアウトして、毎日視界に入れるようにするのもいいかもしれないですね🏆(笑)


「トロフィーが欲しい」「好きな子にいいところを見せたい」など、理由は何でも構わないから、
子どもが少しでも興味ややる気を見せたときに、「じゃあ頑張れ」と、練習に向かう姿勢を一緒に作ってくれる保護者の方がそばにいてくださると、
お子さん自身がもともと持っている能力たちが引き出されて、ぐーんと成長します。


上手になる生徒さんを見ていると、本人だけでなく、保護者の方もやる気があって、
お子さんと一緒に「頑張るぞー!」という空気を作っているご家庭ばかりです。



「想像力」の大切さ


さて、トロフィーの素敵なお話を聞いたので、今回は「想像力」についてお話しようと思います。


ピアノを弾くにあたって、想像力というのはとても重要なスキルだと私は考えているのですが、
想像力をフルに使っている生徒さんを見ていると、私もなんだか楽しい。


スタッカート奏法

エピソード1

例えば、習い始めたばかりの生徒さん。
楽譜にはじめてスタッカート*1が出てきたけど、彼女はスタッカートの意味を知らない。

『ホッピング』というタイトルの曲だったので、そこからイメージを膨らませてみよう、と思いました。


生徒「この点(スタッカート)なに?」
「これはね、ホッピングしてくださいってことなの。ホッピングって知ってる?」
生徒 「知ってる!」
「ホッピングって何?」
生徒 「えっとねー!」

わざわざ立ち上がってぴょんぴょん跳ねて、元気いっぱい「ホッピング」を見せてくれる生徒さん。

「上手! そうそう、それよ! じゃあそれを鍵盤の上でお指で表現すると、どういう風になるかな?」
生徒 「指でホッピングかぁ。んーと、えーと、こうかな?」

一発で出来ました。

言葉で説明したり、簡単にやって見せるよりも、自分の頭でイメージして、試行錯誤の末に習得するほうが感動するし、その子のためになるんじゃないかなぁと思ったりします。

エピソード2

次の生徒さんは、スタッカートは知っているんだけど、どうも音が重たい。

ピアノで弾いてみせながら、「もっと鋭く、素早く切るんだよ」という話をしました。



生徒「じゃあ、キリンみたいに弾けばいいの?」
「キリン? どういうこと?」

生徒「あのね、この間遊園地に行ったとき、キリンの乗り物があって、△△くんと一緒に乗ったの。あんな感じ?」

「うーん、先生は見たことないから、どんなのかわかんないなあ。でも、○○くんがキリンだと思うなら、そのキリンのイメージで弾いてみて。先生は聴いたら、それが合ってるかどうかわかるから」

生徒「うん、キリンさんね」

〜♪〜

「上手くなった…! キリンさんで合ってたわ。今度からスタッカートはキリンさんのイメージで弾いて…!」


ということがありました(笑)

キリンさんのイメージは、私には全然分からなかったけど、
本人がイメージしやすいもので、それが音になって表現されるなら、それは素晴らしいと思います。
他の人に分からなくても、自分のイメージで良いんです。



作曲課題


今度は習い始めて1ヶ月の生徒さんの話。

習い始めたばっかりなので、まだ音符の読み方を頑張っているところなのだけど、
お喋りしながら、即興でメロディーを弾いていた瞬間があったので、これはと思い、「作曲してみる?」と提案してみたら乗り気に。

もともとリズムだけ書いてある譜面に、指番号を書いてオリジナルのメロディーを作る課題をあげました。
タイトルと歌詞も付いていて、最初は雷雨なんだけど、最後には晴れ間が見えてくるというストーリーになっています。



次の週、「作曲したよー!」と意気揚々と持ってきてくれた彼女。


とっても素敵な曲だったから、少しアイデアをあげました。

たとえば…

  • 曲の始めは雷を表現してみよう。
    拳を作ったり、腕を使うとたくさんの音を一気に鳴らせるよ。遠くで鳴っている雷、近くで落ちる雷などで、雷の音も変わってくるよ。
  • 色んな音域を使ってみよう。低い音程を鳴らすと迫力が出るね。雷の音に似合うかも。高い音はどう?
  • ダンパーペダル*2を使うと音が響くようになるよ。
  • 最後は雨が止んでくるから、だんだん遅くしていくと、それが表現できるかも。


それまでまだ強弱も、ペダルも、テンポチェンジも、クラスター*3も教えてなかったけど、ストーリーとアイデアを元に、自分の頭で想像しながら弾いてみました。

そうしたら、雷は雷らしく、フォルテ*4でクラスターとペダルを使って大胆に表現、曲の最後は私のアイデアを採用してだんだん遅く、しかも、雨が止んでいく様子を表すように自然とデクレッシェンド*5になりました。

想像力、素晴らしい! 感動した!

私が教えなくても、音楽の知識がなくても、想像力があれば色んなことが出来る、想像力が一番の先生であると、彼女が証明してくれました。

こんなにレッスンで感動することもなかなかないかもしれない。可能性を感じたし、本当に素晴らしかった。
ピアノ歴1ヶ月で、こんなに色んなことが出来たら最高だよ。天才なのかな?笑

彼女は既にいろんなものを自分の中に持っているから、私の仕事はそれを開放させてあげて、彼女が使いこなせるようにサポートすればいいんだなと感じました。

彼女のおかげで、その日はいつも以上に、私は機嫌の良い先生だったと思います(笑)


感じたことを使い尽くそう


想像力については、他にもいろいろエピソードがあるんだけど、長くなるので、今回はこのへんでやめておきます。


想像力がいかに大事かということが、皆様にもすこし伝わったのではないでしょうか。


私の生徒さんには、
今まで経験したこと、そのとき感じた感情・感覚、映画やテレビで見た映像、本で読んだこと、
自分のなかにある、あらゆること、そのすべてを総動員して、目一杯感じながら、たくさん表現して、音楽を演奏してほしいなと思っています。




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*1:▷staccato (スタッカート) … 一音一音を切り離して短く(演奏すること)。

*2:ピアノの一番右のペダルのこと。踏むとダンパー(弦の振動を止める装置)を開放するので、打鍵した音が伸び、音の余韻が非常に長くなる。

*3:▷cluster (クラスター) … 非常に密集した和音(例えば、1オクターブで内の音全てを同時にならす等、効果音的に使われることもある)のこと。ほとんどでたらめといった感じに使われることもある。(コトバンクより)

*4:▷forte (フォルテ) … 強音で(演奏するところ)。強意符号の一つ。

*5:▷decrescendo (デクレッシェンド) … しだいに弱く(演奏するところ)。ディミヌエンド。