Yufu Blog

ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

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ピアニスト・ピアノ講師の Yufu のブログです♪

【読了本】ルース・スレンチェンスカ:九十四歳のピアニスト 一音で語りかける

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新年一冊目に読んだ本は、

ルース・スレンチェンスカ 九十四歳のピアニスト 一音で語りかける (KOKORO BOOKLET―のこす言葉)

でした*\(^o^)/*


ルース・スレンチェンスカさんというピアニストの人生を描いてあります。





94歳のピアニスト


ルース・スレンチェンスカさんは、1925年・アメリカのカリフォルニア生まれのピアニスト。


「神童」と謳われ、コルトーラフマニノフに師事したそうです。
ラフマニノフのお弟子さんが現在も生きていらっしゃるということが既に感激。


4才で初リサイタルを行い、5才でカーティス音楽院に入学。最年少だったそうです。そりゃそうだよ。
日本では5才で音大に入学、とかありませんよね。


カーティスというと、ラン・ランやユジャ・ワンの出身校です。日本人だと、小林愛実ちゃんとか。

「コンサートは、自分がどんなに上手かを見せるものじゃないんだ。聴きに来た人が、音楽ってこんなに美しいものだったのかと思いながら帰るようにしなくちゃだめなんだ」
私にそう教えてくれたのは、サミュエル・バーバーです。(p.2)

作曲家のサミュエル・バーバーと、カーティス音楽院で共に学んだそうです。
共に学んだと言っても、当時ルースさんは5才で、バーバーは21才くらいだからな…!ヒェ-

⬇︎バーバーの代表作


他にも、ストラヴィンスキーの前で演奏したり、小澤征爾さんのデビューコンサートで共演してたり、登場人物がいちいち有名人すぎて訳分からなくなります(笑)


でも有名人たちとのエピソードを読むのは面白い。
ギーゼキングのドビュッシーを聴いて感激して、その時師事していたラフマニノフに「私が弾けるドビュッシーの曲を選んでください」と言ったら、
ベートーヴェンのソナタを20曲弾けるようになってからになさい。ドビュッシーのような新しいものは、これからいくらでも弾く時間がありますよ」(p.38)と言われたらしい。古典は基礎だからなあ、素晴らしい👏


それから「子供のころからいろいろな先生についたけど、父はレッスンに月謝を払ったことはありませんでした。」(p.33)とあるのですが、ラフマニノフもコルトーも無料だったのかしら?? それはすごいことだ。
ショパンなんて、レッスンで生計を立てていたから、ワンレッスン20フラン(約2万円?)だったのにね。


4才で初リサイタル

初リサイタルをした時のプログラムがこちら。

J.S.バッハ:平均律 ハ長調 プレリュード
J.S.バッハ:インベンション 第9番 ヘ長調
C.P.E.バッハ:ソルフェージェット
ハイドン:ソナタ 変ホ長調
ベートーヴェン:6つの変奏曲 ト長調

4歳でこれだけ弾けるっていうのがすごいですよね。

レベル的にいうと、「ソルフェージェット」は以前、ピティナ・ピアノコンペティションの小5・6年生の課題曲だった。それをたった4才で!


お父さんが厳しくて、1日9時間練習していたそうです。


3歳の時から、朝6時から練習が始まって、12の長調・短調の音階すべてを両手で4オクターブ、メトロノームに合わせて完璧に弾く。ちょっとでも間違えたら頬を叩かれた、と。

「コンサートでミスをすると、お客から腐ったリンゴやトマトが飛んでくる」と脅されて、実際に家でトマトを投げつけられたこともあったそうです。蜷川幸雄か。


練習の仕方

曲にもよるそうですが、メトロノームで40から一目盛りずつ上げて、片手ずつ、何度も何度も繰り返していくそうです。

他には、シフティング・アクセントといって、フレーズの中で3拍目にアクセントを置いたり、4拍目にアクセントを置いたり、強く弾く個所を変えて弾く練習も、よくされるそうです。


36歳の時に、すべてのピアノ演奏者と愛好家のための教本も書かれています。気になる。


各先生のレッスン

本に書いてあったことから、抜き書きして簡潔に纏めています。
自分用のメモでもあるので、分かりづらくてすみません😧💦

シュナーベル

一音一音すべての音符とフレーズを分析して、神経を張り巡らせて……厳密なレッスンで、二時間続く。

コルトー

シュナーベルとは対極的で、曲の解釈はとても柔軟。そのときどきに即興的に弾くことを勧める。

ラフマニノフ

他のピアニストの教え方とはちょっと違って、作曲家の視点からの指導。曲全体の構成を見る。
色を曲にあらわす、音色の色彩について等。

雫型のペンダントは、ラフマニノフからのプレゼント。


ルースさんの凄さが分かる文章

毎日弾く練習曲は、今は決まってません。子どもの頃は、毎朝、食事の前にショパンの練習曲を全曲弾いていましたけれど。
ハノンのピアノ教本?初歩の教材ですね。ええ、私も使いましたよ。まだベビーの頃にね(笑)。(p.16)

ニューヨークで母国での華々しいデビューを飾ったルースは、子どもながらに年間七五〇〇〇ドルを稼ぐようになり、これは当時のアメリカ大統領の収入を超えるものだったという。(p.35)

もういっそ清々しい(笑)


読んでいて、あまりの凄さに「ちょっと何言ってるか分からない」状態に陥るので(笑)、もうなんかわかんないけど笑けてきます。


最初はいちいちヒェ-と思ってたけど、もう途中から心を失いました(ノ∀`)



音源

子供の頃から毎朝練習していたルースさんのショパンの練習曲の演奏がこちら。
今の時代は検索したらすぐ聴けるので、良いですね。


探したら、ラフマニノフの演奏もありました。
ラフマニノフに師事していたのですから、とっても興味深い録音ですね😳✨✨


感想

ページ数も少なく、数時間であっという間に読めました。


印象に残った話は、どんなピアニストもリサイタルは緊張したり、精神的な負担がかかるものだということ。
ホロヴィッツの話も出てきました。

また、ルーヴィンシュタインやギーゼキングが孤独な練習を耐えるために、どんな工夫をしていたのか、というのも印象的でした。


また、子供の頃にお母さんが読み聞かせてくれた話が、作曲家のストーリーであること。
日本では、たとえば「桃太郎」など定番ストーリーがあると思うけれど、こんな風に実際の歴史を小さな頃からお話のように聞かせてくれることって、素晴らしいことだなと感じました。参考にしたい。


バイタリティ溢れるピアニストのお話で(ピアニスト歴90年ということになるのかな?笑)、たくさんパワーをもらえる本でした!



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