Yufu Blog

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ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

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ピアニスト・伴奏者・ピアノ講師の芦谷ゆふのブログです♪

『熊谷守一 生きるよろこび』に行きました

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『熊谷守一 生きるよろこび』展を観てきました。


昨年からずっと行きたいと思っていたのですが、ようやく観に行けました。

250点を超える展示数で、思っていたよりも、かなり面白い展覧会でした。

混雑状況


東京国立近代美術館に行ったのは、記憶によると、2011年春に開催されていた『生誕100年 岡本太郎展』以来です。随分前だなあ…!

『岡本太郎展』では、会場外にあるミュージアムショップの前まで長い列を作っていましたが、
今回の『熊谷守一 生きるよろこび』展は、拍子抜けするほど、まったく並ばずに入場できました。
逆にみんな何で来ないの?

お客さんも御年輩の方が多く見受けられ、若い人はほとんどいませんでした。
まあ、見る側としてはちょうどよい人気ぶりで、じっくりゆっくり鑑賞出来ます。素晴らしい。


熊谷守一とは

熊谷 守一(1880-1977)は、日本の画家。日本の美術史においてフォービズムの画家と位置づけられている。しかし作風は徐々にシンプルになり、晩年は抽象絵画に接近した。富裕層の出身であるが極度の芸術家気質で貧乏生活を送り、「二科展」に出品を続け「画壇の仙人」と呼ばれた。
熊谷守一 - Wikipedia

熊谷守一は、明るい色彩と単純化されたかたちを持つ作風で知られます。晩年は花や虫や鳥など身近なものを描くたくさんの作品を生み出しました。飄々ひょうひょうとした味わいを持つエッセイでも知られ、『へたも絵のうち』(原著は1971年、現・平凡社ライブラリー刊)は、現在もロングセラーの文庫となって若い層にも読み継がれています。
没後40年 熊谷守一 生きるよろこび|東京国立近代美術館 2017年12月1日(金)〜2018年3月21日(水・祝)

読み継がれてる割に、読み継いでいなかったので、近いうちに読んでみたいと思います。Kindle化希望してます!笑


イケメン


何よりも熊谷守一氏ご本人の美男子っぷりよ。
若くても美しい、老いても素敵。

私の先生(ロシア人女性)がよくラフマニノフのことを「彼は演奏も作曲も出来る、そしてgood lookingだわ!」と必ず最後に容姿を褒めていたけど、間違いなく熊谷守一氏もグッド・ルッキング・ガイでしょう。笑

長寿

この時代に97歳まで生きられたということが驚き!
20代始めに両親を続けて無くしたり、次男を失っている割に、本人のご長寿さたるや…!

解説文を読みながら「何食べて生きてたんだろう…!」と思わず呟いたら、隣りにいた殿方が、
「熊谷はね、晩年には歯がまったく無くなっちゃったらしいんだけど、ステーキを食べてたんだって、本に書いてあったんだよ。だからやっぱり肉食べてる人は元気なのかもしれないなぁ」と教えてくださいました。
元気な人って、絶対に肉食べてるよね。私も見習おう。

後述するけれど、熊谷が自身のスタイルを確立したのは60代になってからであって、40代ではまだ試行錯誤してる。
熊谷守一が熊谷守一として大成するのに、長生きは欠かせなかったんだなぁと思う。

面白かったところ

構成

  1. 闇の守一:1900-10年代
  2. 守一を探す守一:1920-50年代
  3. 守一になった守一:1950-70年代

このように、熊谷守一氏の作品を、時代ごとに追って見られてとても興味深かったです。

私が熊谷守一作品として知っていた画風に至るのは、彼が60代の頃からであり、それまでかなり色々な手法を試していたことを、初めて知りました。

「光と影」にスポットを当てる

熊谷守一氏の「光と影」という部分をテーマに見せているので、そこに注目して鑑賞すると、とても面白い。

光と影というとレンブラントが真っ先に思い浮かぶけれど、私が熊谷守一氏の絵を見て連想したのは、ゴッホ。

初期の作品は、晩年にくらべて暗い色の作品が多いことに驚きました。
「あれ、初期は暗くて晩年が明るい作風って、何処かで…。あ、ゴッホだ!ゴッホも最初は暗い色の作品が多かったんだ!」と気がつきました。

『横向裸婦』1904
藝大時代の作品。
暗い画面の中で、モデルの輪郭が逆光によって浮かび上がっている。


『蝋燭』1909
闇の中、蝋燭で男の顔が浮かび上がって見える。

こうした作品を見ていると、当初、熊谷さんは、影を描くことによって光を描こうとしていたのかなあと思った。
「物や人には輪郭がなく、ただそこにあるだけ」というような解説文もどこかにあったけれど、輪郭のない世界で、光と影を頼りに、それらを描こうと試みたのかもしれない。

彼が、如何にして、晩年確立した明るい色の画面、赤い輪郭線を生み出したのか、その流れを見ていくのがとても興味深かった。

ジャポニズム

『太海』(1950)という作品は、海という自然を描いているけれど、どことなくジャポニズムを感じるのは何故なのだろうと思った。
ゴッホたちが影響を受けていたように、もちろん日本人なのだから浮世絵は水墨画なんかの影響もあったことだろう。

海外画家の作品と違い、熊谷守一作品を見ていると同じ日本人なのだなあと感じる。
肖像画や裸婦の絵を見ていても、顔や体型が「日本人だな」と思うし、
幾何学模様を試すのにも、畳を用いたり、私たちにとって身近なもので日本人らしさを出している。発想が面白い。

『畳の上の裸婦』(1962)



色々な画家からの影響


たとえば『稚魚』(1958)という作品は、アンリ・マティスの『The Dance』(1910) に影響されているとか。

言われてみれば、確かに……!(^q^)
マティス展は、二年前にNYで見たので、記憶に新しい。


『ひまわり』(1928)

『向日葵と女』(1924)

私は、マティスの他にもゴッホや晩年のモネ、ピカソ、クレーなど、色々と連想したけど、私の連想が正しいか正しくないかは別として、
主に40代に、色んな手法を貪欲に試しているのが見て取れて面白かった。

画家だけでなく、光の三原則についてドイツ人研究家の文献を読み勉強したり、音響学を学び音の振動数の計算に没頭したり、カメラの見え方の構造についてメモを残していたり、
色んな観点から、自分の絵に結びつけている熱心さに尊敬した。


お土産も買いました。

A4ファイルとノートブック


ノートブックは展覧会限定らしく、可愛らしさについ買ってしまった!

図録

これはかなり気に入りました!

何より、サイズが良いの。
公式サイトでは、210㎜×168㎜[B5変形]、376ページ という表示になってます。

文庫本と比較するとこんな大きさ。

ちょっとした単行本のようなサイズだし、文章も面白いので、何度も開いて読みたくなる図録。
これまで色んな展覧会で図録を買ってきたけど、これがいちばん好き。

欲しかった絵が絵ハガキになっていなかった


本当は『少女』(1963)という作品が気に入ったので絵ハガキが欲しかったのだけれど、売られていなかった。
作ってくれ〜〜


大満足の展覧会でした! 春公開の映画も期待!


好きだった熊谷作品が、より好きになりました!

一見シンプルな作品に見られますが、何十年もさまざまな手法を試し、複雑さを踏まえた上でのあの作品たちなんだと知ることが出来て、
今後、熊谷作品を拝見するときにもっと楽しむことが出来そうです。

こんなに絵を描くために理詰めで色々と勉強して、光や影についても研究してるのに、スーラみたいな点描画でなく、
マティス寄りの大胆な構成の画風になったところが、わたしは好き(^q^)笑

今年5月には、山崎努さん・樹木希林さん主演、沖田修一さんが監督でモリのいる場所という映画が公開されるようです。絶対に見たいと思います…!


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