Yufu Blog

ピアニスト、伴奏者、ピアノ講師をしています。 桐朋→ Manhattan School of Music(NY)卒業

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ピアニスト・ピアノ講師の Yufu のブログです♪

1月 読了した本:4冊

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Please give me chocolate!!


世間はバレンタインだけれど、私は部屋で桜もちを頬張っている。あんこ最高じゃないの(^q^)
でもチョコレートも大好きなので、突如現れたチョコレート特設コーナーなんて、夢のようなスポットに思えます。ラインナップが素敵。ひとつも買ってないけど。


インフルエンザでお休みする生徒さんが増えている昨今ですが、皆さまお元気でいらっしゃいますか。
私は、生まれてこの方インフルエンザに罹ったことがないために、インフルエンザになんて絶対にならないと思い込んで今日も生きております。


さて、一月の読書記録です。

読書や映画の記録なんて書かなくていいんじゃないか、と思って放置していたのですが、やっぱり記録しておいた方が良いともうひとりの私が脳内で呟くので一応記録。


毎度のことながら、ネタバレ注意ですので、以下は大丈夫な方だけどうぞʕ•̫͡•ʔ💖
上の目次からジャンプすることも可能です。




遠藤周作『沈黙』

沈黙 (新潮文庫)

第2回(1966年) 谷崎潤一郎賞受賞
島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。

12月に入手していたのだけれど、重たいcontentsになかなか読む心積もりが出来ず、今年に入って恐る恐る開いてみたところ、一気に読んでしまった。
久しぶりに面白い小説を読んだな、という感想。
スコセッシ監督で映画化という話だけれど、観たいと思う反面、これを映像で観る恐ろしさもある。
ただ、キチジローが窪塚洋介氏なのは似合っていると思う!笑

タイトルは神に対して「何故あなたは沈黙しておられるのか」という問い、その「沈黙」の意だったのだなあ。
繰り返し書かれるユダの裏切りを想ってしまう。

転宗してからが本当の信仰のように感ぜられたというと、おかしいかな。
「人間というものはどういう事態になっても虚栄心から抜けきれぬ」という文章を読んだとき、なんとなく仏教のようだと思った。所詮私達は人間であり、どんな絶望の淵にあろうと邪念を捨て去ることなど出来ないじゃないか。自分の意思決定、感じたことは自分にしかわからないだろう。

とても私にとって影響力のある作品で、キリスト教をはじめとする宗教のこと、また人間の信仰心というものを改めて考えさせられた。
自分が信仰について考えるとき、これからもこの作品が軸になりそう。

自分は今、祈りも忘れ、この犬の食いものに飛びついた。祈る時は神に感謝するためではなく、助けを求めるためか不平や恨みを言うためだ。それは司祭として屈辱であり、恥だった。神は讃えられるためにあり、恨むために存在するのでないことを勿論、よく知っている。にもかかわらずこんな試煉の日、癩(らい)を病んだブヨのようになお、神を讃えるということは、どんなに困難なものだろうか。(p.146)

ちょうど昨年末に教会での結婚式、キリスト教の方の御葬儀に出席させていただく機会があったので、キリスト教に興味がわいて、新約聖書に関する本を別に読んだが、それも面白かった。その本は、すべて読んだわけではないので読了本には含めないけれど、天使による大虐殺であったり、自分が想像もしていなかった悲劇が記されていて、キリスト教に、より一層興味がわいてしまった。





舞城王太郎『獣の樹』

獣の樹 (講談社文庫)

凄まじい文圧! 研ぎ澄まされた感性! 疾走する展開! めくるめく陶酔!
構築と破壊、拡散と収斂、死と再生を繰り返す、舞城ワールドの新たな渦!

ある日ある朝、西暁町で、十四歳くらいの僕が馬から生まれる。記憶も名前もない。でも名前なんかいらない、と思う。自分が誰だってどうでもいい――のに、正彦が僕を弟にする。それからヒトとしての生活にようやく馴れてきたところに、蛇に乗る少女楡(にれ)が現れ、僕を殺人現場に誘う。冒険が始まる。失踪した父親。地下密室。殺人。獣の大革命。そして恋。
混乱と騒動の中、僕は暗い森を駆ける駆ける駆け抜けていく。

舞城王太郎が講談社100周年記念書下ろしで投下した、新しい小説。

ここで終わるのか…!
528ページと分厚い作品ながら、3〜4日で一気読み。

馬から人間の少年が生まれるという設定がもう面白い。
面白いなあと思ってぐいぐい読んでると、途中から「!?何読んでるんだっけ」ってなるし訳が分からない。舞城さんすごい!
相変わらず発想が突飛すぎるのにそれを形にしてるのがとてもすごいし、この意味不明なストーリーを疾走感と共に読ませる筆力。

最初、桃太郎のパロディなのかなと思ったけど、違ったかも。
アイデンティティというか、自分の意識が自分を作ったりするということかな。「疑う」こと。
途中から理解が追いつかなかったところがあるので再読が必要かも。
というか楡、成雄とは致してないのに爽高と致してるし、何でだよ。最終的に不覚にも爽高のオオアナコンダに全部持って行かれた感があってとても悔しい。笑

主人公の名前は成雄なんだけど、他の方のレビューを読んでいたら、舞城さんには「ナルオシリーズ三部作」というのがあって、本作はその一つとして含まれているみたい。機会があったら他の二冊も読んでみたい。
今のところ、私が今まで読んだ舞城作品の中では、『ドリルホール・インマイブレイン』が不動の一位。まったくオススメしないけど大好きな作品。


それと、NHKで『龍の歯医者』というアニメが放送されるみたいなんだけれど、舞城王太郎氏が原作・脚本とのことで、そちらも気になっている。
監督が『エヴァ』や『シンゴジラ』の庵野秀明監督で、声優陣も山寺宏一さん、津田健次郎さん、櫻井孝宏さん、岡本信彦さん…とワクワクしてしまう顔ぶれで期待大。





宮下奈都『羊と鋼の森』

羊と鋼の森

史上初! 堂々の三冠受賞!
・2016年 本屋大賞
・2016年 キノベス! 第1位
・2015年 ブランチブックアワード大賞

ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。

「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」

ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。

ピアノの調律師の話なので、ピアノに関わる者として気になって読んでみました。

読んだことないのに言うのもなんだけれど、「小川糸っぽい」とレビューに書いてる人がいるの、なんだかわかる気がする。
『食堂かたつむり』を映画で観たことがあるだけのイメージだけど、なんとなくあたたかくて、ふんわりしてる空気感が似ている。
本屋大賞作品ってかつて読んだことがなかったので気にはなってたけど、こういう作品を書店員は推すのかあって感じでした。いや、別にいいんだけど、私が書店員なら他に読んでほしい熱量の詰まった作品沢山ある(笑)

舞城作品を読んだあとだったので、なかなか上手く読み進められないというか、読みやすい文章なのにスローペースで進むような、不思議な体験でした。流れるプールで絶対に泳がずに、浮くだけで一周回る、みたいな。我ながらものすごくわかりにくい比喩ですが。笑

時代が経つにつれて音の高さ(Hz)が上がっていっているのは人々が明るい音を常に求め続けているから、星座の数とピアノの鍵盤の数は同じ、など、興味深い考え方や豆知識がちょこちょこと出てきて、それが楽しかったです。

以下、気に入ったシーンの引用。

「いいんじゃないの。怖けりゃ必死になるだろ。全力で腕を磨くだろ。もう少しその怖さを味わえよ。怖くて当たり前なんだよ。今、外村はものすごい勢いでいろんなことを吸収してる最中だから」

「ピアノで食べていこうなんて思ってない」
和音は言った。
「ピアノを食べて生きていくんだよ」





Lucy Cousins "PECK PECK PECK"

Peck Peck Peck
突然の絵本なので、これは含める必要ないかな、とも思うのですが一応読書記録として。
キツツキの子供がクチバシで木をつついて穴を開けるのを覚えてから、色んなものに穴を開けまくるっていう、可愛らしく愉快なストーリーなのだけれど、終いには人の家の洗濯機とかにまで穴開けて回ってて、しかも親も "Superb!(よくやった)" とか我が子溺愛な感じなので、「おい 褒めてる場合じゃないぞ!『人のものに穴を開けたらいけません』くらい注意しなさいよ! 倫理観も同時に養わせてあげてよ!」と内心ツッコミを入れてしまったのですが、考えてみたら、キツツキだから人間の倫理観は通用しないのかな(笑)

ページに実際に穴が沢山開いてて、カラフルな色使いのイラストと併せてとても楽しめる。
私はルーシー・カズンズさんの絵が子供のときから大好きで、本作も夢のある絵本なので、とても気に入りました。PECK PECK PECK!!💖💖



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